超音波医学
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総説
透析腎の超音波診断
尾上 篤志秋山 隆弘髙橋 計行大野 卓志
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2018 年 45 巻 3 号 p. 261-269

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抄録

過去において透析腎は腎不全の終末像であり萎縮した腎臓の評価が主であった.しかしその後,長期透析に関連する後天性腎嚢胞(Acquired cystic disease of the kidney: ACDK)の発生と腎癌の関連性が示唆されるようになり,ACDKの診断が重要になってきた.さらに最近では導入患者の高齢化と透析期間の長期化が重なり腎癌診断の重要性が増している.そのため透析腎に対する超音波検査は現在ほぼ必須検査として多くの透析施設において実施される.一方透析導入患者における慢性糸球体腎炎由来患者の減少と糖尿病由来患者の増加による腎不全の原疾患の構成割合の変化や導入前治療による修飾などのため透析導入後の腎臓はいろいろな形態を呈するように変化している.このため透析腎の超音波診断では透析腎の経時的変化や原疾患との関連性,先天性と後天性嚢胞腎の違いと嚢胞内出血と腎癌の鑑別,造影エコーによる腎癌診断法について十分に理解した上で検査に臨むことが大切である.

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© 2018 公益社団法人 日本超音波医学会
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