超音波医学
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特集「Recent progress in basic research useful for the interpretation of ultrasound diagnostic images」
シアウェーブエラストグラフィに影響を与え得る物理的・工学的要因のレビュー
新田 尚隆山川 誠蜂屋 弘之椎名 毅
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2022 年 49 巻 6 号 p. 489-501

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抄録

癌などの疾病のスクリーニングとして触診が行われてきたように,組織の硬さが診断に有用な情報を提供することは古くから認識されていた.近年,画像診断において組織の硬さを定量的かつ客観的に評価・画像化する手法であるシアウェーブエラストグラフィ(Shear Wave Elastography; SWE)が実用化され,SWEに関する臨床的知見が蓄積されている.また,診断のためのガイドラインが作成され,当該技術や臨床応用に関するレビューも多く発表されており,診断技術としての地位が確立されつつある.しかしながら,せん断波速度(Shear Wave Speed; SWS)とSWEにおいて換算された弾性率の解釈に関しては依然として不明確な点がある.これらを明らかにするためには,SWSや換算された弾性率に影響を与え得る要因を調査することが重要である.したがって,本総説では,SWEの原理と文献レビューに基づいて,SWSと換算された弾性率に影響を与え得る物理的・工学的要因について考察する.物理的要因には,せん断波の伝搬特性,組織の力学的特性(粘弾性,非線形性,異方性),標的組織の大きさと形状が含まれる.工学的要因には,関心領域の深さや信号処理が含まれる.本総説の目的はSWSの解釈に対する答えを提供することではなく,読者が解釈のために仮説を立て,それを検証するための情報を提供することである.そのため,解釈のための仮説を検証する方法もレビューする.最後に,SWEの安全性に関する研究もレビューする.

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© 2022 公益社団法人 日本超音波医学会
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