日本超音波学会ホームページで2019年 5月に公示された脂肪肝診断基準についての解説とメタボ症例に対する超音波検査のコツを解説する.脂肪肝の定義として各学会のコンセンサスにより肝細胞に占める脂肪滴の割合が「30%以上」から「5%以上」に変更された.本稿では,この変更された脂肪肝に対する超音波診断基準のBモードの診断ポイントについて述べる.さらに,いわゆる“メタボ”症例(腹部の膨満が強く,内臓脂肪や皮下脂肪が厚い被検者)に対して役立つ撮影のコツについても触れる.メタボリックシンドロームでの超音波検査のポイントとしては,(1)先入観の排除(外見に騙されない),(2)適切な圧迫と呼吸法の調節,(3)肋間走査の有効活用,(4)装置の条件設定を変更,(5)体位変換を有効に活用,の5項目が挙げられ,これらについて解説を加える.本稿が会員の皆様にとって日常診療の参考になれば幸いである.