超音波医学
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難治性心不全を呈した心ヘモクロマトーシスの1例
藤田 淳子山崎 正之竹内 陽史郎小川 正子高岡 理恵衣笠 宏山村 亮介志手 淳也
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.A.55

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抄録
心ヘモクロマトーシスは心筋細胞への鉄沈着により心不全をきたす病態である.今回,我々は心エコー図検査で拘束型心筋症様両心不全の病態を呈し,臨床経過および画像所見から心ヘモクロマトーシスに合致すると考えられた症例を経験したので報告する.症例は70歳代女性.フェリチン異常高値のため当院紹介.生検にて肝ヘモクロマトーシス,鉄芽球性不応性貧血と診断され鉄キレート療法が開始されたが糖尿病を発症し,労作時呼吸苦が出現し当院入院となった.血清フェリチンは3,210 ng/mlと異常高値であり,心電図は伝導障害を呈し,単純CTでは左室および一部の右室心筋に高吸収域を認めた.入院時心エコー図検査では左室拡張末期径は53 mmで左室拡大は認めなかったが,左室壁運動はびまん性に低下し,左室駆出率は30~35%と収縮能は低下していた.心房細動リズムで左室流入血流速波形の拡張早期波減速時間は138 msecと短縮していた.入院時心エコー図検査から20日後には右心機能低下が顕著となり,心室中隔に点状の輝度上昇を認め,左室流入血流速波形は拘束型を示し,急激に心不全が進行していた.心エコー図所見から心ヘモクロマトーシスと診断した.通常の心不全治療に対して薬剤抵抗性であり,心室頻拍のため第31病日に永眠された.以上,心ヘモクロマトーシスの診断に心エコー図検査が有用であった.
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© 2016 一般社団法人 日本超音波医学会
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