抄録
頭頸部領域の超音波像でみられる血管炎のサインとしては,高安動脈炎において頸動脈の短軸像でみられるマカロニサイン,巨細胞性動脈炎において浅側頭動脈の短軸像でみられるhypoechoic haloサインが特徴的である.いずれも大動脈から全身の大血管に炎症を及ぼし様々な症状を呈するが,頭頸部エコーでの異常所見を契機に発見され,診断につながる症例が少なからず存在する.高安動脈炎でみられる超音波所見としては,血管周囲の低輝度病変,等~高輝度の内中膜複合体(intima media complex : IMC)肥厚,外膜不明瞭化,縮窄,閉塞など多様性がある.これらは時相により変化するものと考えられるが,縮窄,閉塞に至ると,変化することはほとんどなくなる.巨細胞性動脈炎でみられるhypoechoic haloサインは,血管周囲に低輝度な全周性の広がりを観察することで判断する.他にもIMCの肥厚,拡張・蛇行,瘤形成,内腔の狭小化・閉塞など多様な画像が認められる.