超音波医学
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上腕動脈における高位分岐例
小林 大樹末光 浩太郎
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.R.155

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抄録
上腕動脈は上腕部を走行する動脈であり,肘関節部より1~2横指末梢側で橈骨動脈と尺骨動脈に分岐する.しかし,稀に腋窩付近またはその末梢側でそれらが分岐する高位分岐例が存在する.今回,超音波検査で高位分岐を正確に診断できた症例を中心に解説する.68歳,女性,右手第I‐IV指に潰瘍が出現し当院受診となった.超音波検査では腋窩付近で橈骨動脈が分岐する上腕動脈高位分岐例であった.上腕部の橈骨および尺骨動脈は血流を認めたが,前腕部の両者は閉塞していた.前腕部の骨間動脈においては微弱ながら血流シグナルを認めた.血管内治療を施行する方針となり,橈骨および尺骨動脈の分岐部をエコーガイド下でマーキングを行った.高位分岐のため,左鼠径部からアプローチしガイドワイヤーを進めた.造影画像とマーキング部から橈骨動脈起始部を同定し,橈骨動脈閉塞部を手関節部まで通過,バルーンカテーテルで拡張し血流を再開通させた.術前の超音波検査で橈骨動脈の起始部を同定したことが,血管内治療の手技において有用な情報になった.超音波検査において上腕動脈を描出する際は,必ず短軸像から描出し動脈が1本か2本かを意識する必要がる.また,術前に高位分岐を診断しておくことで,シースの留置部位が決定でき,必要最小限のデバイスで効率良く治療手技を進めることができる.
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© 2019 公益社団法人 日本超音波医学会
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