論文ID: JJMU.R.260
右室(right ventricle: RV)拡大検出の最初の手段は,経胸壁心エコー図(transthoracic echocardiography: TTE)であることが多く,RV拡大の存在が疑われると,RV容量負荷,RV圧負荷,RV心筋疾患,さらに病的ではないRV拡大の可能性がある.RV容量負荷を伴う先天性心疾患に関して,欠損孔または弁の異常は,一部の疾患で例外はあるものの,TTEで容易に検出できる.三次元TTEを使用した容積評価は,これらの疾患に対する介入のタイミングを決定するうえで役立つ.肺高血圧を有する患者で,RV圧負荷の病態が進行すると,RV拡大が肥大よりも目立ち,RV機能パラメーターが,不適応リモデリングである本段階での予後を予測する.RV心筋疾患では,心筋症と病的ではないRV拡大の鑑別診断が難しい可能性がある.二次元スペックルトラッキングなどで評価できるRV機能パラメーターは,他の病態からRV心筋症を鑑別するのに役立つ.本稿では,RV拡大を示す疾患,それらの特徴,およびそれらの状態や介入のタイミングを評価するために重要な心エコー図検査所見およびパラメーターを考察する.