日本線虫学会誌
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本報 (英文)
Arabidopsis thalianaにおけるジャスモン酸経路がサツマイモネコブセンチュウ侵入に及ぼす影響
藤本 岳人冨高 保弘安部 洋津田 新哉二井 一禎水久保 隆之
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2011 年 41 巻 1 号 p. 9-17

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抄録
植物のジャスモン酸(JA)経路がサツマイモネコブセンチュウ(RKN)の侵入に及ぼす影響をシロイヌナズナの多様な植物ホルモン合成経路変異体を用いて評価した。野生株(WT)とサリチル酸経路欠損体(npr1-1)はジャスモン酸メチル(MeJA)に浸漬すると、無処理時に比べRKNの侵入が有意に低下した。JA経路過剰発現体(sa2-1、sa2-7)に おけるRKNの侵入数は、MeJAを処理した場合も無処理と変わらず、ともにWTへのMeJA処理時と同等であった。RKNの侵入が抑制されたとき、植物のJA経路が活化されており、JA経路の活化とRKNの侵入との間に負の相関があることが 判明した。JA経路欠損体(coi1-1)ではMeJAを処理してもJA関連遺伝子は発現しなかったが、RKNの侵入はWTのMeJA処理時と同等であった。これらの結果から、植物への侵入の際にRKNがJA経路に影響を受けることが示唆された。
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© 2011 日本線虫学会
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