日本線虫学会誌
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原著論文
沖縄の粘土質土壌における植物寄生性線虫によるサトウキビの新植から株出への繰り越し収量減
河野辺 雅徳宮丸 直子吉田 晃一川中 岳志藤田 智紀豊田 剛己
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2019 年 49 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

サトウキビの線虫害については、これまでに世界的に多くの研究がなされているが、その多くは砂質土壌の畑を対象としており、粘土質土壌の研究は限られている。Kawanobe ら(2016)は沖縄の粘土質土壌で植物寄生生線虫が新植時の収量を15% 抑制することを示したが、株出栽培への影響は見られていない。本研究の目的は、新植時の植物寄生性線虫抑制の効果が株出栽培における植物寄生性線虫および収量に及ぼす影響を見ることである。その結果、新植に引き続く株出1 年目で20–25%の収量抑制をすることが示された。株出の生育期を通じて、主たる植物寄生性線虫であるモロコシネグサレセンチュウは殺線虫剤処理区(ホスチアゼート処理)と無処理区で差が無く、新植時の特に植付3 か月から5 か月目のモロコシネグサレセンチュウによる根部加害が、株出に至るまでサトウキビ生育の抑制要因として繰り越されていることが示唆された。

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