サトウキビの線虫害については、これまでに世界的に多くの研究がなされているが、その多くは砂質土壌の畑を対象としており、粘土質土壌の研究は限られている。Kawanobe ら（2016）は沖縄の粘土質土壌で植物寄生生線虫が新植時の収量を15% 抑制することを示したが、株出栽培への影響は見られていない。本研究の目的は、新植時の植物寄生性線虫抑制の効果が株出栽培における植物寄生性線虫および収量に及ぼす影響を見ることである。その結果、新植に引き続く株出1 年目で20–25％の収量抑制をすることが示された。株出の生育期を通じて、主たる植物寄生性線虫であるモロコシネグサレセンチュウは殺線虫剤処理区（ホスチアゼート処理）と無処理区で差が無く、新植時の特に植付3 か月から5 か月目のモロコシネグサレセンチュウによる根部加害が、株出に至るまでサトウキビ生育の抑制要因として繰り越されていることが示唆された。

2013年8月6日に死亡したタンチョウのヒナを剖検したところ、鼻腔内と前胸および叉骨間気嚢から20 個体の線虫が検出された。形態学的に検討した結果、円虫上科開嘴虫科のCyathostoma属Hovorkonema亜属の一種であった。種名決定は保留されたが、タンチョウを宿主としたCyathostoma属線虫の報告は初であり、同時に、この属線虫の国内初となった。本属線虫はミミズを待機宿主として利用することが知られ、この個体は親からミミズを盛んに給餌されていたため、幼虫を含んだミミズを採食して感染したと考えられた。

Root-knot nematodes (RKN) are one of the most economically damaging nematodes in Japan as well as in the world. In November 2014, we found malformed taro (Colocasia esculenta) tubers in the field. Many RKN second juveniles were extracted from soil by the Baermann funnel method and female adults were found parasitizing on the tubers. Nematode species was identified with PCR-RFLP method using individual nematodes, and all RKN specimens were identified as Meloidogyne microcephala (Mm). We also identified RKN from the soil of several fields where taro’s seeds cultivated in the previous year (Field 2), tomato greenhouse and green pepper greenhouses neighboring to Field 2 (Field 3 and 4, respectively) and tomato greenhouse about 300 m apart from Field 2 (Field 5). The number of RKN (Meloidogyne incognita (Mi) / Mm) of Field 2, 3, 4 and 5 were 18/11, 15/23, 30/0 and 8/0, respectively.