2019 年 49 巻 1 号 p. 7-11
2013年8月6日に死亡したタンチョウのヒナを剖検したところ、鼻腔内と前胸および叉骨間気嚢から20 個体の線虫が検出された。形態学的に検討した結果、円虫上科開嘴虫科のCyathostoma属Hovorkonema亜属の一種であった。種名決定は保留されたが、タンチョウを宿主としたCyathostoma属線虫の報告は初であり、同時に、この属線虫の国内初となった。本属線虫はミミズを待機宿主として利用することが知られ、この個体は親からミミズを盛んに給餌されていたため、幼虫を含んだミミズを採食して感染したと考えられた。