日本線虫学会誌
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原著論文
キャリーオーバーを防止するdUTP/UNG系を用いた2ステップのマルチプレックスPCRによるジャガイモシストセンチュウ類の同定診断法
酒井 啓充串田 篤彦奈良部 孝
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2019 年 49 巻 2 号 p. 19-27

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抄録

ジャガイモシストセンチュウおよびジャガイモシロシストセンチュウの同定診断において、マルチプレックスPCR検定は重要な診断技術の一つである。従来法では、検定結果が陰性の場合にPCRの失敗か非標的種か不明であった。一方、PCR診断における重大な問題としてキャリーオーバー汚染が挙げられる。本研究では、dUTP/UNG系によるキャリーオーバー防止を取り入れた2ステップのマルチプレックスPCR 診断法を考案し、PCR診断技術の信頼性向上と迅速化を図った。併せて、DNA抽出法を簡素化した。本PCR法の結果、ジャガイモシストセンチュウで150 bp、ジャガイモシロシストセンチュウで287 bp、非標的種でおよそ450 bpの産物を生じ、非特異反応は見られなかった。幼虫またはシストの2種混合サンプルを用いた場合、10:1の比率でも両種を検出した。本手法のPCR反応時間は約1 時間で、従来法よりも迅速である。

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