「ICTを利用した死亡診断の補助」は,医師不在・医師確保困難な地域において,在宅での穏やかな看取りが困難な状況に対応するものである。課題は,死亡診断の場における看護師の役割を医師の補助に留めることなく看護ケアとして発展させていくことであろう。このような問題意識から,本稿では,他国で同様の業務を行っている国の状況から看護ケアへの発展への示唆を見出し若干の考察を行った。イギリスでは,看護師の死亡確認が承認されている。その実務の状況および実施者の経験を比しながら,日本での実務について検討した。結果は,日本の実務は医師と協同で科学的に公正に死亡確認と死後診察を行っていくことである。故人の擁護者となるこの実務を的確に行い,社会の信頼を得ることで看護師の専門性と自律性を活かす看護の役割拡大となるのである。