本研究の目的は精神科で働く看護師を対象として実施したリフレクションを含めた倫理研修が,看護師の道徳的感受性,倫理的行動,ストレスに及ぼす効果について調べることであった。研修は倫理原則や理論に関する内容と看護師の体験をリフレクションする内容から成っていた。1回90分を2回実施し,11名の看護師が参加した。看護師は,第1回目の研修開始前と第2回目の研修終了後に道徳的感受性質問紙,看護師の倫理的行動尺度,精神的健康調査票に回答した。道徳的感受性質問紙の3つの下位尺度のうち「道徳的強さ」は研修後にM=3.5からM=3.9に有意に上昇した(ρ<.05)。倫理的行動尺度の下位尺度の得点も有意ではなかったが,上昇していた。精神的健康調査票はM=16.8からM=12.8へと有意に低下した(ρ<.05)。これより,リフレクションを含めた倫理研修は「道徳的強さ」を高めること,ストレスを軽減することに有効であることが示唆された。