日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
短報
診療看護師が職務上経験する倫理的問題
小野 美喜望月 啓央甲斐 博美
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2021 年 13 巻 1 号 p. 56-62

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抄録

本研究の目的は、特定行為を含む診療に関わる診療看護師が、職務上経験した倫理的問題を把握することである。日本NP教育大学院協議会が資格認定した診療看護師249名を対象とし、無記名自記式質問紙調査を行い54件の回答を得た。その結果、「患者の身体拘束・鎮静をすること、しないこと」看護の倫理原則である「患者の権利擁護」や「十分なケアを提供できない人員配置」の問題を高い頻度で経験していた。さらに、医師との信頼関係の構築や、看護師の上司や同僚との対人関係の問題に悩んでいた。

診療看護師が抱える倫理的問題は、臨床看護師と同様の結果であり、看護師として倫理的感性が結果に反映されていると考えられる。加えて鎮静に関しては、診療看護師の経験として重要な問題となる。診療看護師は、医師や看護師との関係性に問題を抱え、教育の課程領域による問題の違いも示唆された。大学院修士課程での看護倫理教育をさらに発展させる必要がある。

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© 2021 日本看護倫理学会
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