2022 年 14 巻 1 号 p. 3-11
本研究の目的は、ナラティヴ学習に基づく専門看護師の倫理調整役割開発プログラムの活用可能性を明らかにすることである。プログラムは5セッションから構成され、4名の参加者のセッションのデータをテーマ分析により分析した。プログラムへの参加は〈自分の実践や考えを安心して語り、聞くことが出来る〉〈先輩も同じような経験をしてきたことに安堵し、悩んでいるのは自分だけではないと勇気づけられる〉と自己肯定感を高めていた。さらに〈先輩CNSの経験を自分に置き換えて考え、とらわれていた自分に気づく〉ことが促され、前提や価値観の批判的な振り返りがなされたと示唆された。このような振り返りは、変容学習において非常に重要な段階であり、〈相手の視点に合わせる柔軟性とぶれない思いをもって、看護の質をあげることが自分に求められている役割とハッとする〉という倫理調整における新たなパースペクティヴをもたらすことが示唆された。