実践と教育・研究は、看護教育と看護専門職、および看護が奉仕する社会にとって不可欠である。講演では、「公共の利益」「責任」「信頼」という倫理的概念について考えながら、臨床・実践と教育・研究とが協働しあうことの倫理を述べる: 1)日本の看護教育の変遷と、教育に関係する人々、すなわち学生、看護実践者、実習指導教員、および講義を行う教員の役割、2)「専門職としての社会化」という文脈の中で、学生がよい看護師として育っていくことを助ける要因、3)実践と教育・研究との協働を困難にすると考えられる側面とその倫理、および、4)個々の看護師が尊敬と信頼をベースとした同僚関係をもち、看護におけるさらなる協働を深めるための道しるべとしての、倫理原則と徳の倫理のアプローチ。私の講演を貫いているのは、よいことをなすために本当に純粋になるまで待つ必要はない、という仏陀の教えである。人が純粋になることは一生にわたる旅路であり、完全なる純粋さは到達しえないものなのかも知れない。よいことは行ないながら求め続けるのだ。