日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
2 巻 , 1 号
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巻頭言
レター
研究論文
  • 田中 美恵子, 濱田 由紀, 小山 達也
    2010 年 2 巻 1 号 p. 6-14
    発行日: 2010/02/01
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    日本の精神科病棟で働く看護師が体験している倫理的問題と価値の対立を明らかにするとともに、倫理的問題状況の背景にある因子を抽出することを目的に、3年以上の精神科臨床経験を有する看護師28名に集団および個人面接を行い、収集された68のエピソードを質的に分析した。分析の結果、看護師が体験している倫理的問題として「患者の権利」「治療」「退院・長期入院」など8カテゴリーが抽出された。看護師が体験する価値は「患者の権利」「患者の尊厳」「患者の安寧」「専門的価値」「個人的価値」「文化的価値」「他の人々の権利」の7つから構成されており、価値間に対立がみられた。価値とは別に「現実の制約」が、看護師の持つ価値と対立していた。

  • 小野 美喜, 小西 恵美子, 八尋 道子
    2010 年 2 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2010/02/01
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    本研究は、倫理的理想像である「よい看護師」が、日本の看護教育の歴史の中でどのように記述されてきたのかを探究する。明治時代から2006年までの看護の教科書18冊を対象に看護師に求められた特質の記述を内容分析する文献的研究を行った。さらに看護教育の変化によって4つの時代に区分し特質の変遷をみた。その結果、1)人としての特質や人柄、2)知識と技術をもつ専門職としての特質、3)外観・身体的側面を示す特質、4)人との関係性を尊重した特質、の4つに分類された。普遍的な特質は「人としての特質や人柄」と「知識と技術をもつ専門職としての特質」であった。1990年代より、「人との関係性を尊重した特質」が増えた。教科書には、看護師のあり方に焦点をおく「徳の倫理」が生き続けていた。しかし、その記述は研究的知見からのものではないため、今の看護師に求められる特質を研究によって示すことが重要である。

  • 倉林 しのぶ
    2010 年 2 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2010/02/01
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    「よい看護師とは?」という問いは、看護教育過程や臨床、一般論としても議論され、それぞれが「よい看護師」に関するイメージをもっている。しかし、「よい」という概念は非常に複雑であり、また、この問いが、どのような状況で、誰に、どんな職種に問われたのかにより、その答えは異なるだろう。本研究では、患者にもっとも身近な存在である「家族(遺族)」に焦点を当て「よい看護師」について尋ねた。その結果、家族は「よい看護師」に「やさしさ」「コミュニケーション能力」「笑顔」などを求めており、それは日本語の「良い」という意味に近かった。

  • 白川 真紀, 八代 利香, 吉留 厚子, 吉田 愛知
    2010 年 2 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2010/02/01
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    鹿児島県十島村は外海遠洋離島であり、7つの有人島がある。医師は7島で1名、看護師は各島に1名が常駐している。島民は最期を迎える時、長年住みなれた島を離れなければならない現状がある。その要因について文献調査をした結果、「高齢化・過疎化」「医師不在」「社会資源の不足」「遺体処理の問題」の4つが明らかになった。このような状況は、島で最期を迎えることを望む島民の、よりよく生きる権利や生命の尊厳などの基本的生存権を損ねている。唯一島にいる医療専門職として、看護師の存在と果たすべき役割の拡大が、今後の重要な課題と考える。

論説
実践報告
日本看護倫理学会第2回年次大会
会長講演
基調講演
  • Anne J Davis, 八尋 道子, 尾﨑 フサ子, 小西 恵美子
    2010 年 2 巻 1 号 p. 50-62
    発行日: 2010/02/01
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    実践と教育・研究は、看護教育と看護専門職、および看護が奉仕する社会にとって不可欠である。講演では、「公共の利益」「責任」「信頼」という倫理的概念について考えながら、臨床・実践と教育・研究とが協働しあうことの倫理を述べる: 1)日本の看護教育の変遷と、教育に関係する人々、すなわち学生、看護実践者、実習指導教員、および講義を行う教員の役割、2)「専門職としての社会化」という文脈の中で、学生がよい看護師として育っていくことを助ける要因、3)実践と教育・研究との協働を困難にすると考えられる側面とその倫理、および、4)個々の看護師が尊敬と信頼をベースとした同僚関係をもち、看護におけるさらなる協働を深めるための道しるべとしての、倫理原則と徳の倫理のアプローチ。私の講演を貫いているのは、よいことをなすために本当に純粋になるまで待つ必要はない、という仏陀の教えである。人が純粋になることは一生にわたる旅路であり、完全なる純粋さは到達しえないものなのかも知れない。よいことは行ないながら求め続けるのだ。

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