日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
短報
臨床看護師の「看護倫理に関わる知識の有無」と「倫理問題の認識」との関連性
倉林 しのぶ李 孟蓉尾島 喜代美鈴木 雅子風間 順子中西 陽子
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2013 年 5 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

倫理関連用語のなかで臨床看護師の認知度が最も高かったのは「インフォームド・コンセント」(87.1%)であった。「パターナリズム」「アドボカシー」「ケアリング」ともに「わからない」という回答が35%前後、また「自律」「善行」「無危害」「正義」の4つの原則に関しては、「わからない」という回答がいずれも40%台と高率であった。倫理に関する知識、また、倫理的問題の認識には、倫理教育を受けた時期の違いによる影響は少なからず存在すると思われたが、同時に、臨床での経験を通し磨かれる感性があることも示唆された。倫理的問題を背景別に分類した結果、「多忙や人手不足」「施設設備や施設方針」など、何らかの背景(理由)がある場合「倫理的問題」と捉える傾向が低かった。知識不足により放置されかねない倫理的問題が存在することを考えると、個々の看護師が倫理的知識をもち、それを吟味していく姿勢がより質の高い看護のために必要と思われた。

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© 2013 日本看護倫理学会
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