日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
短報
脳・神経系病棟に勤務する看護師の倫理的問題に関する研究
境 美穂子工藤 せい子
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2013 年 5 巻 1 号 p. 63-70

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抄録

本研究は、脳・神経系病棟に勤務する看護師が抱えている倫理的問題を明らかにすることを目的に、通算看護師経験4年以上の看護師12名を対象に面接し、継続的比較分析を行った。結果、4つのカテゴリーと12のサブカテゴリーが抽出された。問題の約8割は【抑制の悩み】で、脳・神経系疾患の【複雑な病態による共通認識困難と対応困難】という悩みを抱えていた。また、一人の患者にかかりきりになることで業務の負担が増し、【理想と現実の乖離】に陥り、さらに、業務優先の患者対応や看護師間の不統一な行為をすることで【患者に向き合う態度】に問題があることを示していた。脳・神経系病棟に勤務する看護師は、看護師間のサポート体制を整えて、意識障害の患者が送っているメッセージに気づき、倫理的問題をキャッチして、医師・家族も含めた話し合いの場を設け、解決策を講じ、問題を解決していくための積極的な行動力を身につけていくことが求められる。

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© 2013 日本看護倫理学会
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