2015 年 7 巻 1 号 p. 17-25
本研究の目的は、高齢者の退院という移行ケアに関わる退院調整・支援看護師の意思決定の拠り所を明らかにすることである。対象者は、急性期病院の退院調整部門に配属されている看護師5名である。研究方法としては、フォーカス・グループ・インタビューの後に個人面接(半構造化面接)を実施し、質的内容分析を行った。その結果、看護師の意思決定の拠り所は【患者の思い】【限りある人生】【役割遂行】【代弁者としての責務】【生命の尊重】【苦痛のない安らかな死】【情報と専門知識】【信頼関係】の8つのカテゴリーに概念化された。その概念が示すものは、看護師と患者の間主観的な関わり、移行期にある患者の限りある人生への思い、代弁者としての役割の自覚と実践、患者の生命尊重と安寧を願う思いの葛藤、そして生産的相互関係を表す‘協力’という倫理的なものであった。