看護師が看護実践の中でどのような違和感・ジレンマを経験し、その状況にどのように対応しているのか、また、その対応に対する看護チームの反応を明らかにするために看護師10名にインタビューを行い、テーマ分析と構造分析を組み合わせたナラティヴ分析を行った。構造分析から、1)違和感・ジレンマを経験したが対応できなかったというナラティヴ19例、2)違和感・ジレンマに対応したが効果が得られなかったというナラティヴ10例、3)違和感・ジレンマに対応し効果が得られたというナラティヴ2例が見いだされた。効果が得られた2例は、成功体験や良いモデルに出会った経験があるケースだった。テーマ分析の結果、違和感・ジレンマは、X.看護チームの習慣・ルール・看護システムに対するもの、Y.看護経験の多少に基づくもの、Z.看護師–医師の関係に基づくもの、に分類された。倫理的ジレンマへの対応・行動のあり方を組織的に検討し、看護師が倫理的実践能力を発揮しやすいチーム・集団の環境を整えることが不可欠であることが示唆された。