2015 年 7 巻 1 号 p. 54-67
病院看護職による高齢患者の終末期意思の尊重の実態の認識と、関連要因を検討するため自記式質問紙調査を行い、クロス集計および相関関係分析を行った。高齢患者の終末期意思の尊重の割合は、高齢患者の意思表示のみの場合に7割強、高齢患者の終末期意思とその家族や医師の延命処置の考えが異なる場合には3~5割程度であった。また、「終末期ケアの協働」「終末期の説明サポート」「終末期患者に関する看護」の能力が高い看護職は高齢患者の終末期の延命処置の意思の尊重の認識も高く、「終末期ケアの協働」の能力が低い看護職は高齢患者の終末期の延命処置の差し控え意思の尊重の認識が高い傾向が明らかになった。高齢患者の終末期医療の意思の尊重には、看護職に対する倫理的な教育、患者権利における倫理的な問題を解決する方法を模索する機会、本人の価値観に合わせて終末期医療に伴うケアを判断するための看護能力の必要性が示唆された。