抄録
訪問看護ステーションで活動する特定看護師は、患者の症状の変化に対応し、身体所見、検査所見から病態を把握し、医師と共通の医学的視点で臨床推論ができ、医師に必要な情報を適切にタイムリーに報告する能力が求められる。また看護職であるため、生活状況、家族状況、心理面など包括的にアセスメントすることも重点に考えている。新規利用者に対しては特に、病態把握と生活を見るため、独自に開発したアセスメントシートを活用している。本報では、頚椎損傷、褥瘡、要介護度5、膀胱ろうカテーテル留置中、高血圧、糖尿病加療中の男性高齢患者が、突然にめまい、悪寒、発熱、手先の痛みの症状を訴えた際、特定看護師として、問診、身体所見からのアセスメントと、患者、家族に対する対応について報告する。症状が急に変化し、不安が特に強いであろう在宅療養者に対して、その場で丁寧な身体診察、情報提供や判断を含めた医師とのきめ細やかな連携の重要性が示唆された。