看護科学研究
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わが国の低活動性行動・心理症状を有する認知症患者に対する看護実践の現状と課題 —実践報告の文献検討を通して—
古野 貴臣藤野 成美藤本 裕二
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2020 年 18 巻 2 号 p. 32-39

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抄録

認知症症状である行動・心理症状(BPSD)が認知症患者や家族のQOL低下を招いている。このBPSDは興奮を中心とした過活動症状と、うつを中心とした低活動症状に分類される。一見手がかからない低活動症状が認知症患者のケア提供者に見逃されやすいことが指摘されている。本研究では、BPSDの低活動症状を有する認知症患者に対する看護実践に関して、実践報告を用いた文献検討を行い、わが国の現状と課題を検討した。文献から記述を抽出し分析した結果、【個人を尊重した食事援助】【生活リズムの是正】【意図的なタッチング】が行われていることが明らかになった。低活動症状のうち悲哀に関する看護実践に関して記述された文献は見当たらなかった。見逃されやすい低活動症状に対する看護実践が行われていることが明らかになったが、本研究を基盤として看護師の観察の視点や臨床判断を明らかにすることが求められる。

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© 2020 看護科学研究編集委員会
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