看護科学研究
Online ISSN : 2424-0052
ISSN-L : 2424-0052
研究報告
日本の一都市における成人住民の自殺念慮有症率とその関連要因: 地域自殺対策のための標的集団とその背景
大畑 江里影山 隆之
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 19 巻 2 号 p. 47-56

詳細
抄録

一都市の成人住民の自殺念慮が、1)人口学的属性と関連するか、2)自覚的健康状態・自覚的ストレス・相談相手の有無・相談をすることの 「ためらい」と関連するか、3)1の関連を2によって説明できるか、を検討するために、20–79歳住民から無作為抽出した3,000名に対する自記式質問紙調査を再分析した。最近1年以内に自殺したいと考えたことがあるという回答を、操作的に自殺念慮と定義した。有効回答者1438名中、5.1%が自殺念慮者を経験していた。この割合は20–44歳、離別群、失業中及び 「その他無職」群で高く、自殺念慮者を減らす対策の標的集団と考えられた。自殺念慮は自覚的健康度が低いこと、ストレス度が高いこと、相談相手がいないこと、相談の 「ためらい」度と関連があった。これらの要因は人口学的属性と関連し、標的集団で自殺念慮が多い理由をある程度説明できた。以上より、標的集団のストレス・健康問題・孤立状況に焦点を当てた対策が必要と考えられる。

著者関連情報
© 2021 看護科学研究編集委員会
次の記事
feedback
Top