抄録
【目的】不眠症に対するデジタル短期的認知行動療法(dBBT-I)を基盤とした、睡眠改善プログラム実施前後での睡眠の変化について明らかにする。【方法】20歳代の学生を対象とした3か月半の縦断研究である。同意取得後、dBBT-Iによる2週間の睡眠改善プログラム(睡眠コーチ)を実施した。背景因子、睡眠状態やメンタルヘルスの質問項目について、睡眠コーチ前後の4時点(前、直後、1か月後、3か月後)で回答を依頼した。分析はMcNemar 検定を用いた。【結果】睡眠コーチ前は131名(83.4%)から回答が得られた。プログラム終了後3か月時点の回答率は90名(68.7%)であった。プログラムを完遂した67名のアテネ不眠尺度(AIS) の平均は、睡眠コーチ前と比べて有意に睡眠の改善がみられた(p<.001)。【結論】dBBT-I はプログラム終了後3か月で約7割の回答が得られ、不眠状態の改善が認められた。一方で、不眠が改善されない者には、改善に向けたフォローアップの必要性が示唆された。