抄録
【目的】看護基礎教育におけるDXの活用に資するVR教材作成への示唆を得る。【方法】医中誌Webを用いて抽出した23件の文献を対象に、看護基礎教育のVR教材の概要を整理・分析した。【結果】VR教材の開発・活用は新型コロナウイルス感染症への対応を契機とし、視覚と聴覚のみでVR空間を体感するものが多かった。教材の目的は、対象者の共感的理解、観察・アセスメント、看護技術を学ぶことなどであり、教育手法はシミュレーション教育が多かった。【考察】看護基礎教育におけるVR教材は、新型コロナウイルス感染症のため緊急的に導入されたが、教材の目的自体は看護教育全般に通ずる重要な要素であった。そのため、VRは一時的な活用にとどまらず、シミュレーション教育と組み合わせることで、より発展的に活用できる可能性が示唆された。一方で、VRの三要素(没入感・インタラクション・自己投射性)を十分に備えた教材開発には課題が残る。【結論】看護基礎教育では、シミュレーション教育で活用できるもの及びVRの特徴を活かした教材作成が求められる。