抄録
韓国では人口高齢化の進行に伴う老人保健・福祉対策として、2007 年から老人療養保障制度の導入が計画されている。老人療養保障制度は日本の介護保険制度と類似点が多いが、制度を実現するためには、在宅看護事業の現状と問題点の分析、問題解決のための課題検討が必要である。そこで、韓国における在宅看護事業の現状と問題点を分析した結果、韓国には包括的かつ組織的な在宅看護サービスを提供するために必要な法制度が整備されておらず、地域社会を中心とする在宅看護事業を行なう機関・施設とマンパワーが不足していることが示された。利用者中心の在宅看護サービスを展開するために、以下の4 つの政策課題を提言した。1) 国家的次元での明確な家庭看護の政策ビジョンと方向性の確立、2) 地域社会を基盤とする家庭看護センター運営のための法制度の確立、3) 在宅看護施設及びマンパワーのインフラ構築、4) 在宅看護事業のためのモデル事業の推進。