2015 年 4 巻 1 号 p. 9-17
そう痒症は血液透析患者の多くに合併しており、Quality of life (QOL) の低下や予後の悪化の原因となることが示唆されている。今回我々は新しい作用機序のそう痒症治療薬、ナルフラフィン塩酸塩 (ナルフラフィン) の有効性、および適正使用についての調査を行った。ナルフラフィン服用中の患者25名を対象とし、ナルフラフィンの服用を中止してそう痒感、不眠の経過を調査した。更にその他の既存そう痒症治療薬の併用状況の調査や経済的評価を行った。ナルフラフィン中止後、再開を希望した患者は25名中7名であり、36%の患者でナルフラフィンが第一選択薬として開始されていたことが判明した。また、ナルフラフィン中止によって1日の薬剤費は45%に削減することが可能であった。医薬品の適正使用、および医療経済的な面でもナルフラフィン継続の是非を定期的に評価することは有用であると考えられる。