日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
4 巻, 1 号
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原著
  • 中島 さゆり, 小嶺 真耶, 矢野 未来, 江藤 りか, 舩越 哲, 原田 孝司
    2015 年4 巻1 号 p. 9-17
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル フリー

    そう痒症は血液透析患者の多くに合併しており、Quality of life (QOL) の低下や予後の悪化の原因となることが示唆されている。今回我々は新しい作用機序のそう痒症治療薬、ナルフラフィン塩酸塩 (ナルフラフィン) の有効性、および適正使用についての調査を行った。ナルフラフィン服用中の患者25名を対象とし、ナルフラフィンの服用を中止してそう痒感、不眠の経過を調査した。更にその他の既存そう痒症治療薬の併用状況の調査や経済的評価を行った。ナルフラフィン中止後、再開を希望した患者は25名中7名であり、36%の患者でナルフラフィンが第一選択薬として開始されていたことが判明した。また、ナルフラフィン中止によって1日の薬剤費は45%に削減することが可能であった。医薬品の適正使用、および医療経済的な面でもナルフラフィン継続の是非を定期的に評価することは有用であると考えられる。

  • 中村 忠博, 成末 まさみ, 松浦 まなみ, 福田 里香, 矢野 未来, 森本 仁, 上島 泰二, 江藤 りか
    2015 年4 巻1 号 p. 19-25
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル フリー

    腎排泄型の医薬品は、慢性腎臓病(CKD)患者では投与量の調節が重要である。しかしながら、カルテの検査値を見ることができない薬局薬剤師は、腎機能低下について、患者インタビューによる情報に頼る状況が推測された。そこで、長崎県の腎臓専門医が、腎機能低下患者のおくすり手帳にCKDシールを貼付することによって、薬局薬剤師にもCKD情報が提供できる情報連携システムの構築を目指した活動を開始した。本情報連携システムの開始に先立ち、患者の腎機能の情報入手方法、CKD患者における医薬品の適正使用への関与方法およびCKDシールによる腎機能低下情報の連携について、病院薬剤師および薬局薬剤師へ意識調査を行った。ほとんどの病院薬剤師および薬局薬剤師から、積極的に腎機能低下の情報連携に協力する意思があるとの回答が得られた。CKDシールは腎機能低下の情報伝達のツールとして、病院薬剤師、薬局薬剤師ともに医薬品の適正使用に効果的であると判断していることが明らかとなった。

短報
  • 林 雅彦, 八重 徹司, 柴田 和彦, 三輪 高一, 森 尚義, 大井 一弥, 平田 純生
    2015 年4 巻1 号 p. 3-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル フリー

    【目的】低体重かつ腎機能障害のある喫煙者におけるバレニクリンの薬物血中濃度-時間曲線下面積(AUC)について検討した。【方法】体重(65、55 kg)、クレアチニンクリアランス(CLcr)(100、60、40 mL/min)におけるバレニクリン投与量(2.0、1.5、1.0 mg/日)別に、AUC 200、250、300、350、400 ng・h/mLを超える確率を、母集団パラメータに基づき、モンテカルロ・シミュレーションを用いて10,000回のシミュレーションで予想した。AUC有効域は200~300 ng・h/mL、嘔気・嘔吐発現域は300 ng・h/mL以上とした。【結果】体重65 kg、2.0 mg/日投与、CLcr 100 mL/minで予想した場合、AUCが300 ng・h/mL を超える確率は0.1%、40 mL/minで300 ng・h/mL を超える確率は100%であった。40 mL/min で1.5 mg/日投与の場合、200 ng・h/mLを超える確率は99.9%、300 ng・h/mLを超える確率は34.0%となった。55 kg、2.0 mg/日投与、CLcr 100 mL/minで予想した場合、200 ng・h/mLを超える確率は89.7%、300 ng・h/mLを超える確率は3.7%、60 mL/minで300 ng・h/mLを超える確率は84.2%となった。60 mL/min で1.5 mg/日投与の場合、300 ng・h/mLを超える確率は8.6%となった。40 mL/min で1.0 mg/日投与の場合、200 ng・h/mLを超える確率は78.4%、300 ng・h/mLを超える確率は2.9%となった。【結論】65 kgでは、40 mL/minから1.5 mg/日への減量を考慮する必要があった。55kgでは、60 mL/minから1.5 mg/日への減量を考慮し、40 mL/minから1.0 mg/日への減量が必要となった。

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