日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
原著
血液透析糖尿病患者に対するテネリグリプチンの有用性に関する検討
志内 敏郎楠藤 梨恵村上 真也小松 まち子宮 恵子野間 喜彦島 健二
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2015 年 4 巻 3 号 p. 13-19

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抄録

目的:血液透析糖尿病患者に対するdipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬テネリグリプチンの有用性について検討する。対象と方法:維持血液透析中の2型糖尿病患者16名(DPP-4阻害薬未投与群9名およびアログリプチンからの切り替え群7名)にテネリグリプチン20mgを1日1回3ヶ月間経口投与し、テネリグリプチンの有効性と安全性を評価した。結果:DPP-4阻害薬未投与群(テネリグリプチン単独投与6名、ミチグリニドへの上乗せ投与3名):3ヶ月後に透析前血糖値およびGA値は有意に低下し(開始時から3ヶ月後:血糖値185±44から153±28mg/dL、p<0.05;GA値23.4±3.8から19.7±3.0%、p<0.01)、GA値20%未満の血糖コントロール良好群の割合は開始時11.1%から3ヶ月後55.6%へ有意に増加した(p<0.05)。アログリプチンからの切り替え群:透析前血糖値およびGA値は、テネリグリプチン投与後3ヶ月間有意の変動を認めなかった。観察期間中、自・他覚症状の異常はなく、血液検査値の悪化および低血糖は認めなかった。結論:1)テネリグリプチンは、血液透析患者に対して有効かつ安全に投与できる薬剤である。2)テネリグリプチン20mgの血糖降下作用はアログリプチン6.25mgとほぼ同等である。

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© 2015 一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
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