日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
原著
血液透析患者における血清中カルシウム及びリン値に及ぼす性差と年齢の影響
高山 慎太郎福野 和治出内 秀樹小林 龍井藤 達也宮越 貴之佐藤 秀紀武田 清孝小林 道也齊藤 浩司
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2015 年 4 巻 3 号 p. 3-11

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抄録

以前に札幌腎と薬剤研究会(現、北海道腎と薬剤研究会)では、札幌市内の5病院で血液透析を受けている331名の患者から血清中カルシウムとリンの濃度に関するデータを収集した。これらのデータを用いて本研究では、慢性腎臓病に関連するこれらのミネラルのコントロールに対する性差と年齢の影響について再調査した。カルシウムの平均血清中濃度は9.1 mg/dLであり、調査した患者の71%が日本透析医学会のガイドラインに示されている目標管理値の範囲内にあった。一方、リンの平均血清中濃度は5.4 mg/dLであり、ガイドラインで設定された目標管理値の範囲内にあった患者は61%だった。ガイドラインの目標管理値に基づいて331人の患者の血清リン値を3群(高値群、適正値群、低値群)に分けてみると、高値群における患者分布数が低値群の患者分布数よりも約5倍多かった。さらに、血清リン値は高年齢層透析患者よりも低年齢層透析患者で有意に高いことが示された。カルシウムとリンのいずれにおいても血清中濃度に性差は認められなかった。本研究における結果は、リンのコントロールがカルシウムのコントロールよりも困難であること、そしてこの傾向が低年齢層患者で顕著であることを示唆している。低年齢層患者ではリン吸着薬の服用に対するアドヒアランスが重要となるので、薬剤師はリン吸着薬の適切な使用について正確な情報を提供しなければならない。

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© 2015 一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
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