日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
原著
血液透析患者におけるアジルサルタン投与後の服用降圧剤数と血圧の評価
山﨑 修治三星 知山田 仁志相田 宏美長井 一彦岡島 英雄
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2017 年 6 巻 1 号 p. 3-7

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抄録

下越病院の透析外来に通院中で降圧剤を多数服用している血液透析(HD)患者において、服用中のレニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害剤すべてをアジルサルタン40mg 1日1回の投与に変更し、服用降圧剤数の変化と血圧の変動について検討した。また、48時間自由行動下血圧測定(48-hr ABPM)を実施した。対象は、RAS阻害剤を含む降圧剤を5種類以上服用しているHD患者9名とした。試験期間は2012年8月から2013年2月とした。アジルサルタンに変更後、1日に服用する降圧剤は6.0±0.9種類15.4±4.5錠から、4.0±1.7種類10.0±6.3錠へ有意な減少を認めた(p<0.05)。透析前血圧は136.9±20.8mmHgから、136.7±16.9mmHgと有意な差は認めなかった(p=0.90)。48-hr ABPMは8名で実施し、血圧変動パターンは、改善が3名、不変が5名、悪化した患者はいなかった。アジルサルタン変更後、昼間収縮期血圧は136.5±5.3mmHgから134.5±8.4mmHgと減少傾向を認めた。夜間収縮期血圧は138.5±4.0mmHgから132.8±6.6mmHgと有意な減少を認めた(p<0.05)。アジルサルタンの投与で十分な降圧効果を認めたため、RAS阻害剤以外の服用降圧剤数も減量でき、48-hr ABPMにおいて昼間血圧に対する夜間血圧の比が改善傾向を示したと考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
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