日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
原著
リドカインおよびプロピトカインの血液透析性の評価
露木 賀生河野 誠
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2017 年 6 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

外用局所麻酔剤エムラクリームは高い皮膚透過性のため良好な局所麻酔効果を発揮することから血液透析における穿刺時の疼痛緩和を目的として使用されている。一方で、エムラクリームの高い皮膚透過性から、有効成分であるリドカインおよびプロピトカインが1時間の密封塗布により血中へ移行する。血液透析患者において、血中に移行した薬物の血液透析除去性に関する情報は重要であるが、リドカインとプロピトカインの血液透析性については近年主流であるハイパフォーマンス型血液透析器での情報はない。そこで、リドカインおよびプロピトカインの血液透析による透析性を明確にし、血中濃度推移が血液透析による影響を受ける可能性について検討するために、小型化した血液透析器を用いたin vitro透析実験をおこなった。リドカインおよびプロピトカインを含むヒト血漿20 mLを、ポリスルホン系血液透析膜を取り付けたin vitro小型化透析システム(有効膜面積:26.4 cm2、血漿流量:2 mL/min、透析液流量:5mL/min)を用いて透析した結果、リドカインおよびプロピトカインの血漿中濃度は経時的に減少し、透析除去された。また、臨床血液透析条件(有効膜面積:1.5 m2、血液流量:200 mL/min、透析液流量:500 mL/min、ヘマトクリット:44%)でのリドカインおよびプロピトカインの血液透析クリアランス(血漿基準)はそれぞれ34.2 mL/minおよび64.1 mL/minと予測され、リドカインおよびプロピトカインの全身クリアランス(リドカイン:950 mL/min、プロピトカイン:1,910~2,570 mL/min)に比べ小さいと予測された。

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© 2017 一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
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