日本鳥学会誌
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原著論文
山梨県におけるカワウ繁殖コロニー管理
坪井 潤一芦澤 晃彦
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2012 年 61 巻 1 号 p. 38-45

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抄録
魚類への食害など人間との軋轢が顕在化しているカワウPhalacrocorax carboの個体数管理を目的とし,新規コロニー除去と繁殖抑制を行った.2006年から2011年にかけて関東地域のねぐらおよび繁殖コロニーの箇所数は有意に増加したが,山梨県では,新規コロニーの早期発見と除去により,ねぐらおよび繁殖コロニーの箇所数を1箇所に抑えることができた.下曽根コロニー(山梨県甲府市)では,2006年から2011年まで,ほとんど全ての巣で繁殖抑制を行った結果,個体数が減少に転じ2011年現在も,個体数,営巣数ともにピーク時の2005年よりも低い水準を保っていた.2006年から2011年にかけて関東地域のカワウ個体数に大きな変動はみられなかったため,繁殖抑制は個体数を低位安定させる対策であると結論づけられた.他地域からの移入がみられたが,新規コロニー除去と繁殖抑制による巣立ち雛の加入の抑制で,個体数を最大で3割程度(2005~2007年)減少させることができた.
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© 2012 日本鳥学会
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