日本鳥学会誌
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短報
冬期におけるコハクチョウによる地下茎への採食圧が翌夏のマコモ群落地上部の成長に与える影響
渡辺 朝一
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2012 年 61 巻 2 号 p. 283-288

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抄録
 茨城県菅生沼のマコモ群落で,1998年から2004年にかけ,越冬するコハクチョウ群によるマコモ地下茎への採食圧が,翌夏のマコモ群落地上部の成長に与える影響を調査した.調査開始以前まで,コハクチョウの採食圧が加わり,マコモ地上部が旺盛に成長していたマコモ群落の一部を実験区とし,コハクチョウの渡来期にネットを張り,コハクチョウの採食圧がマコモの地下茎に及ばないようにした.翌秋期に,実験区の内外に1 m×1 mの方形枠を複数設定し,マコモ群落地上部の刈り取りを行ない,マコモ地上部乾重量の推移を記録した.コハクチョウの採食を妨害後,2年目から,マコモが旺盛に成長していた実験区内の地上部現存量は少なくなり,実験区外のそれと比較して小さくなった.このことから,冬期のコハクチョウのマコモ地下茎への採食圧は,翌成長期のマコモ地上部の成長に正の影響を与えていることが示唆された.
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© 2012 日本鳥学会
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