日本鳥学会誌
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原著論文
風力発電機の鳥類の繁殖期の生息密度への影響
武田 恵世
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2013 年 62 巻 2 号 p. 135-142

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抄録

 風力発電機は現在世界的に鳥類への影響が問題になっており,影響が大きいという報告から,小さいという報告まである.日本での詳しい報告はまだない.そこで本研究では,風力発電機の野鳥の繁殖への影響を,51基を有する日本有数の大規模風力発電所のある三重県中部の青山高原(布引山地)において調査した.風力発電機から200 m以内の,建設時に改変を受けていない森林に調査区を設定し,青山高原内で風力発電機から可能な限り離れ,標高,植生がほぼ同じ森林に対照区を設定し,鳥類の繁殖期のテリトリー密度と種数密度をテリトリーマッピング法で調査した.調査は2007年5月下旬~6月下旬の午前中に行った.風力発電所近くの広葉樹林では,テリトリー密度で対照区(5.4±0.95テリトリー/ha)にくらべ約1/4(1.3±0.69テリトリー/ha)に有意に減少し、種数密度で対照区(3.1±0.73種/ha)にくらべ約1/3(1.2±0.45種/ha)に減少していた.また,風力発電所近くのヒノキ植林地ではテリトリー密度,種数密度共に約1/4に有意に減少していた.また風力発電所に隣接する布引の森自然保護区では風力発電機建設前(1994年)に比べ,建設から4年後の(2007年)には種数で21種から9種へと約43%に減少していた.以上により風力発電機の鳥類の繁殖期の生息密度への影響は大きいことが示唆され,その建設,立地には慎重な検討が必要であると考えられる.

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