日本鳥学会誌
Online ISSN : 1881-9710
Print ISSN : 0913-400X
ISSN-L : 0913-400X
原著論文
北太平洋西部におけるアホウドリ科2種の胃の中のプラスチック
酒井 理佐山田 和佳西澤 文吾越智 大介新妻 靖章綿貫 豊
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 72 巻 1 号 p. 57-66

詳細
抄録

北太平洋西部の日本列島本州沖にて2014年から2018年に混獲されたコアホウドリPhoebastria immutabilis 96個体とクロアシアホウドリP. nigripes 25個体の胃内容物を調べた.胃内にプラスチックを持っていた個体の割合はコアホウドリ(91%)の方がクロアシアホウドリ(48%)より高く,この傾向は北太平洋中央部での先行研究と同じであり,また,飲み込んでいた硬質プラスチックあるいはレジンペレット各々の重量と長さそれぞれの平均はコアホウドリ(0.073 g, 8.25 mm)の方がクロアシアホウドリ(0.031 g, 5.86 mm)より大きかった.このプラスチック負荷の種間の差が,利用海域と食性の種間差によって説明できるとする強い証拠は,本研究では得られなかった.北太平洋でのこれら2種のプラスチック負荷は,南太平洋西部で混獲された,あるいは海岸に漂着したアホウドリ科より高く,その影響が懸念される.

著者関連情報
© 2023 日本鳥学会
前の記事 次の記事
feedback
Top