名古屋市内の都市公園である小幡緑地では,メジロZosterops japonicus,エナガAegithalos caudatus,シジュウカラParus minor,ヤマガラPoecile varius,コゲラDendrocopos kizukiの5種を主要構成種とする混群が観察される.エナガを対象とした混群の研究は多いがメジロの研究は少なく,混群で群れを誘導する,または他種に追従するといった混群内での役割については知られていない.本研究の目的は,混群構成種5種について,混群の構造や行動配分の変化および音声プレイバックに対する誘引反応を調べることで,メジロの混群における役割を明らかにすることである.調査地では,エナガを中心とした混群と,メジロを中心とした混群の2つのタイプが観察された.混群に参加することでメジロは警戒割合を減らし,警戒行動はエナガの個体数が多いほど少なかった.音声プレイバック実験では,エナガは同種の声にしか誘引されなかったが,メジロとその他の種はエナガの声に誘引された.したがって,メジロはエナガを含む混群では他種と同様に能動的中核種として,エナガを含まない混群では受動的中核種として行動すると考えられた.