伊豆諸島の南部を形成する豆南諸島のベヨネース列岩,須美寿島,孀婦岩は近年鳥類に関する調査がされておらず,日本産鳥類の分布に関するインフォメーションギャップとなっている.そこで2019年から2023年に観察調査を行った.その結果,1960年代に比べてカツオドリSula leucogasterが増加し,孀婦岩では最大約600個体が観察された.これは南に位置する小笠原諸島において自然再生事業の結果個体数が増加しているためと考えられる.また過去に記録のないシロガシラカツオドリS. leucogaster brewsteri,アオツラカツオドリS. dactylatra,アカアシカツオドリS. sula,ナスカカツオドリS. grantiが初確認された.このうちアカアシカツオドリは特に個体数が多く,孀婦岩において最大80個体を数えた.本種は20世紀後半から全国的に分布が拡大し,最近は八重山諸島や火山列島で集団繁殖が確認されている.このような分布拡大は国外の繁殖地における個体数の増加に起因すると考えられる.