日本のタンチョウGrus japonensis 個体群では,これまで亜成鳥による確実な繁殖例の記録はないに等しい.しかし,北海道中央域に造成された千歳川氾濫阻止用の東の里遊水地において,2023 年の繁殖期に,野生成鳥メスと 2 歳亜成鳥オスと判定した番いが,一連の繁殖活動でヒナ 1 羽を孵化させた.親は育雛活動を行ったが,ヒナは孵化 5 日ほどで所在不明となった.その後,番いは隣接の北島遊水地へ移り,6 月に再度産卵,抱卵を行った.卵は孵化しなかったが,亜成鳥を含む野生タンチョウ番いの孵化成功と一繁殖期内の再営巣は初記録であり,亜成鳥を含む雌雄 2 羽連れの出現に対し環境保全対策の重要性が提起されたことになる.なお,ヒナの消失原因は明確ではないが,アライグマの捕食による可能性が考えられるので,駆除を促進すべきである.