2025 年 74 巻 2 号 p. 285-290
静岡県遠州地方において捕獲したミゾゴイ Gorsachius goisagi の幼鳥に,太陽電池方式のアルゴス送信機を装着し,渡り経路を推定した.対象個体は,種子島南側を移動してトカラ列島の中之島を通過した後,奄美大島北西約 160 km の位置まで移動し,ルソン島西側約 500 km の位置で再び測位された.その後,急激に進路を東側へ変え,フィリピンのルソン島西側の沖合まで移動した.この際,経路上で発生した熱帯低気圧の風況変化に伴い,移動経路を大きく変えた可能性がある.本報告は,ミゾゴイの渡りを追跡した最初の事例であるとともに,経路上で大きな気象変化に巻き込まれ進路を変えた可能性のある状況を把握した貴重な記録と言える.