ウグイスの雄の個体識別が,さえずりによってどの程度可能であるかを検討した.調査は1990-91年に新潟県妙高高原で行った.2羽の雄のさえずりについて分析したところ,人が聞いて異なるパターンだと思われた場合には明らかに異なるソナグラムが,同じパターンだと思われた場合には互いに大変よく似たソナグラムが得られた.25羽の雄のさえずりの聞こえ方を調べたところ,30のパターンが認められ,各個体が用いるパターンの組合せはほとんどの個体の間で異なっていた.これらのことから,ウグイスではさえずりによる個体識別がある程度可能であろうと思われた.