日本鳥学会誌
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鳥声録音データの特徴と種数の数え上げ-単位録音時間と累積種数増加率の関係-
松岡 茂
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2005 年 54 巻 1 号 p. 37-44

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抄録

録音によって記録された鳥の出現率(その種が出現した録音回数/総録音回数)は,種により異なり,小さな値をとる種から大きな値の種まで多様であった.録音回数を増やすことで記録されるようになる種は,出現率の小さな種であり,したがって録音回数を増やすと全記録種数に対する出現率の高い種の割合は小さくなり,逆に出現率の低い種の割合が高くなる.録音回数の増加に伴う累積種数の増加は,最初急で後に緩やかになったが,これはそれぞれの種の出現率の多様性に因っていると考えられた.単位録音時間を異にするデータセットから,ランダムに繰り返しを許してデータをサンプリングし,時間経過に伴う累積種数をそれぞれ求めたところ,単位録音時間が短いほど累積種数の増加が早かった.この手順は,反復試行であり,その種が記録(発見)される確率は, p を出現率, n を試行回数とすると,1-(1-p)nで記述できた.単位録音時間を短くすることで記録頻度が増える種では,反復試行に伴う発見確率が,単位記録時間が長い場合に比べて高くなり,その結果平均的に短い時間で記録されようになる.

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