2014 年 14 巻 2 号 p. 29-41
プロフェッションとは自らを律するものであり、評価倫理ガイドラインの策定は、評価者がプロフェッションとして一層の成長を遂げたことを意味する。職業倫理の向上を図る上で、その目標に長年取り組んできた他プロフェッションの動向は参考となるだろう。本稿は、職業倫理における「理論」、「制度」、「実践」の観点から証券アナリストと評価者の比較分析を行った。比較の結果、評価倫理ガイドラインの利用価値を高めるには、倫理上の問題がおきやすい局面の記述拡充が一案と考えられ、事例を継続的に汲み上げるプラットフォーム作りが課題として浮かび上がった。また、倫理規程の解釈と適用にコンセンサスが見出し難いという特質から、評価分野では個々人に判断を委ねる部分が大きい。そのため、ケース・ディスカッションによる訓練は有意義であり、ディスカッション用の教材作成や演習も価値のある取組みとなる。