本稿では、政策評価の結果が政府の資源配分の決定にどのように活用されるのかを、「業績予算」(Performance Budgeting)を例にして議論する。具体的には、「業績情報提供型」業績予算(Performance-informed Budgeting : PIB)の実践概要を整理するとともに、どのような情報がどのような手法により活用されているのかを、国内外の事例により分析して議論する。
PIBの実務を見ると、個別案件の業績情報は成果重視の経営の下で最も重要かつ有益な情報であるものの、それだけでは予算の増減を含めた今後の方向性を議論できず、政府や省における優先事項についての情報や、個別案件についての(業績以外の)情報、他案件についての情報なども提供されて初めてそのような議論が可能となる。言い換えれば、PIBでは省や政府全体の成果がまず重視され、その予算配分の効率性を高めるための個別案件の在り方が、業績情報や他の多様な情報を活用しながら判断されている。
このような多様な視点からの情報を効果的に分析するツールとして、レーティング手法が用いられている。レーティングには手法に内在する多くの制約があるものの、実務的に有用なツールであるため、多くの政府によって使用されている。業績に加えてそれ以外の情報も含めて構築されたレーティングの結果は、予算配分の決定にやや直接的に反映されている。
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