日本評価研究
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実践・調査報告
参加型モニタリング・評価手法MSC(Most Significant Change)
-バングラデシュNGOでの実践から4つの特色を考察する-
田中 博
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2014 年 14 巻 2 号 p. 61-77

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抄録

 MSC(Most Significant Change)は、欧米の国際NGOが活用する参加型モニタリング・評価手法である。筆者は、MSCが日本のNGOにおいて学習目的のプロジェクト評価に効果的と考え、その特色を文献及びバングラデシュNGOでの実践において4つの視点から考察した。4視点とは、①モニタリング及び評価手法である、②参加型評価手法である、③質的分析手法である、④組織学習の手段である、の4つである。実践の結果、参加型評価の長所である利害関係者の意識啓発、能力開発、相互理解につながる学習効果が確認された。また参加型評価の課題である「妥当性」や「代表性」の問題を緩和する機能が一定程度観察された。効果的なMSC実施にあたっては、プロジェクト開始時からの継続的実施や、スタッフのインタビュー技術等の能力開発が求められる。日本のNGOが今後MSCを活用していくためには、MSCによる評価の意義のさらなる考察や、日本のNGOの評価の現状を把握し、導入の意義と可能性を検討していく必要がある。

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