日本評価研究
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研究論文
政策評価とアカウンタビリティ再考
-「18歳選挙権」のインパクト-
山谷 清志
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2017 年 17 巻 2 号 p. 1-13

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抄録

 政策評価の目的の一つにアカウンタビリティ(accountability)の確保があった。研究者と実務家はこの目的をいかに実現するか議論を続けてきたが、一つの答えは、選挙のマニフェストを通じて確保する方法であった。しかし、日本ではマニフェストが政策文書としての体をなしていなかったこと、有権者が政策として吟味(評価)できる能力を欠いていたことが理由で、巧くいかなかった。その中で、2016年7月の参議院選挙から始まった「18歳選挙権」は、選挙における政策評価実施を期待させた。しかし、実際は何も起きなかった。その原因は二つ考えられる。政治的中立性の要請が18歳選挙権の議論を限定して若者の選挙行動を萎縮させた、また民主主義の哲学的理念をめぐる論議と普通選挙の歴史的説明の退屈さ、模擬投票の稚戯性が若者の意欲を減じた、この二つである。選挙本来の機能を回復するためには、アカウンタビリティの視点からあらためて政策評価を再考する必要がある。

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© 2017 日本評価学会
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