日本評価研究
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17 巻, 2 号
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研究論文
  • -「18歳選挙権」のインパクト-
    山谷 清志
    2017 年 17 巻 2 号 p. 1-13
    発行日: 2017/08/03
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     政策評価の目的の一つにアカウンタビリティ(accountability)の確保があった。研究者と実務家はこの目的をいかに実現するか議論を続けてきたが、一つの答えは、選挙のマニフェストを通じて確保する方法であった。しかし、日本ではマニフェストが政策文書としての体をなしていなかったこと、有権者が政策として吟味(評価)できる能力を欠いていたことが理由で、巧くいかなかった。その中で、2016年7月の参議院選挙から始まった「18歳選挙権」は、選挙における政策評価実施を期待させた。しかし、実際は何も起きなかった。その原因は二つ考えられる。政治的中立性の要請が18歳選挙権の議論を限定して若者の選挙行動を萎縮させた、また民主主義の哲学的理念をめぐる論議と普通選挙の歴史的説明の退屈さ、模擬投票の稚戯性が若者の意欲を減じた、この二つである。選挙本来の機能を回復するためには、アカウンタビリティの視点からあらためて政策評価を再考する必要がある。

  • 田中 紳一郎
    2017 年 17 巻 2 号 p. 15-29
    発行日: 2017/08/03
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     国際教育協力プロジェクトは教育の公平性(equity)を高めるかという関心を起点に、本稿は国際協力機構の基礎教育領域の技術協力プロジェクト評価文書を事例に、公平性とOECD-DACの評価5項目の関連用語の出現頻度を対比的に集計した。その結果、公平性への言及は評価5項目に比肩し、その限りでは公平性は看過されているとはいい難い。しかしプロジェクトの進捗と共に公平性への言及は減少し、さらに格差是正に明示的に取り組むプロジェクトは全体の4.5%(5/110)に留まる。現状では、公平性効果はプロジェクト形成や評価においてほぼ不問の状態である。SDGsは公平な学びを筆頭課題に掲げており、公平性増進の取組みをプロジェクト形成(対象、目標、成果、活動、指標)や評価に含め、プロジェクト単位のSDGs達成貢献の最大化を図ることが喫緊の課題である。

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